読書感想: 韓非子

私はインターネット教養大好きマンらしく古典系のビギナーズ向け解説本が好きである。(原本とか全訳ではないのがミソ)
で、今度は「韓非子」に手を付けたのだが、これが中国古典系の中では結構面白かった。


儒教系の本はまぁ「仁さえあれば全て解決」なわけで面白みがないのだが、この韓非子の本はまず初手からして変わっていて、君主に対する進言を行うときのノウハウからスタートする。そして法学の士(要するに韓非子のように君主に対して取り立ててもらおうとする諸子百家憂国の士)が如何に苦しい立場であるかを述べる。まずいきなりこんな処世術と自身たちの厳しい現実が並んでいく本だと思わなかったよ。儒家の本だと仁!徳!から始まるのに、法家思想の本なのに法から始まらない。

そして中盤からは本題の国家運営というか君主のべき論が始まるのですが、かなりマキャベリズムっすね。というか冷徹。臣下は裏切る、妻子は裏切る、法と術の両方が大事、仁だの徳だのは時代遅れ…といった主張が並びます。いや、古代に書かれた本とは思えないっすよ。合理主義の塊すぎて感心しますわ。ホモ・エコノミクス的な人間観から出てくる論理は恐ろしく現代的であり、教科書で習う「法こそ大事」というような法家のイメージとはだいぶ見方が変わりますね。東洋のマキャベリというか、西洋の韓非子マキャベリやったんやなという結論っすわ。