Audible有料会員のコイン配布廃止によせて

ユーザーへの過剰な優遇措置の廃止を「改悪」と呼ぶ現在の風潮に顔を顰めている私ですが、これも世間では「改悪」と呼ばれるのかと思うと悲しい気持ちです。
https://www.audible.co.jp/ep/tips-page


今までのAudible有料会員プランでは、月1で配布される「コイン」を使うことであらゆるオーディオブックの購入が可能でした。しかも有料会員をやめても「購入」した商品なので手元には残ります。Audibleの有料会員は月1500円と、ネットフリックスのHD画質のプランを超えるかなりお高いものでしたが、このおかげで「1500円で4000円を超えるオーディオブックが購入できる」という、私のようなライトなユーザーに取ってはちゃめちゃにお得なものになっていました。オーディオブックは10時間超えるものも多く、1ヶ月掛けても全部聞くのは難しいです。よって聴くペースは月1本以下がせいぜいであり、どうせ月に1本以上のオーディオブックを買うことは無かったのです。つまり有料会員プランでは月1本しか買えないような状態は全くの制限になっていなかったのです。結果として、月1500円しか払ってくれず正規料金を払うユーザーは一切いないという状況になっていたんじゃないかと想像できます。

4000円超の商品を作ったのにみんな1500円しか払ってくれないような状況では、そもそも事業継続すら危うくなりますよね。コイン制以前の有料会員プランではあらゆるものが聴き放題だったのですが、今度は聴けるものに制限をかけての聴き放題になるようです。まぁ妥当な落とし所ではないかと思います。妥当だからこそ私は多分継続しないだろうなあと思いますけど…

この件からはサブスクリプションプランの設計の難しさを感じます。おそらく初期の聴き放題プランでは、ヘビーユーザーにお得すぎるプランでありライトユーザーにあまり恩恵がないものでした。コイン制ではライトユーザーに凄まじい恩恵があり、逆にヘビーユーザーには待てば1500円で買えることが重石になっていたものと思われます。サブスクリプションではヘビーユーザーに寄せたプランを設計するのが常道で、ライトユーザーは放置した結果なんとなく損を被っているぐらいにするのが良いのでしょうが、オーディオブックがどれも高額商品である以上、いい塩梅の設計をするのは難しいのでしょう。