「ドーナツ経済」のススメ

私は100分de名著の「資本論」を読んで「コモンの復活」というテーマに強く感銘を受け、それ以来資本論共産主義の解説本二つほど読みました。 それが「人新生の資本論」と「99%のためのマルクス」だったわけですが、結局どちらもしっくりこなかった。特に99%のためのマルクスの方は資本論の解説としてよくできていただけに、逆にマルクスの見ていた方向と私の考えの差がはっきりしてしまって落胆した覚えがあります。(労働からの疎外というテーマは結局受け入れられなかったよ…

しかし「コモンの復活」というテーマに衝撃を受けた私が再び感銘を受ける本に出会えたので皆さんに紹介したい。それが「ドーナツ経済」です。
www.kawade.co.jp

共産主義とはまた別の方向性で、経済学を根本から考え直していこうという本です。経済学の様々な前提、特に「ホモ・エコノミクス」や「成長」「環境」といったものを考え直し、この世界にふさわしい新しい経済学を考えていこうという本です。 「人間って本来は助け合う生物だよね」とか、「今までの経済発展の原動力って何よりもまず化石燃料だよね」とか、「永遠のGDP成長とかありえるの?」とか、言われてみれば当たり前なだが今までの経済学であまり顧みられていなかったことに言及しつつ、ではその永遠の成長ができそうもない世界でどうやって今後人類が繁栄していくのか、資源を食いつくさない新しい経済の形は何か?ということを探っていく本です。環境問題や格差の問題に対して、「全部資本主義が悪い!」で終わらさずに、じゃあ新しい経済の形を考えていこうよ、という本です。

とにかく、なんとなく元気が出てくる本なので読んで欲しい。
たぶん世界や経済は大きな変革を迎えることなくこのまま進んでいき、私たち日本人も破滅寸前の状況で真に資源枯渇と気候問題や食糧問題と向き合わなければならないのでしょうが、そのときにこのようないわば持続可能な経済システムというものを考えていた人間たちもいたのだということが、活力になる気がしてなりません。